「大阪府・大阪市で相次ぎ中学給食実施の方針発表」 ~しかし、その実施内容に大きな違いが~
今年に入って大阪府の橋下知事、大阪市の平松市長が相次いで公立中学給食を実施する方針を発表しました。これまで中学給食がほとんど実施されていなかった背景から考えると画期的なことですが、その内容をよくみると双方の給食実施方法には大きな違いがあるようです。
【大阪府の場合】
1月27日、橋下大阪府知事は大阪府内の公立中学校給食実施率が約12%で全国最下位になっている事から、中学校給食完全実施に向けた市町村への補助金を大阪市・堺市の政令市を除く41市町村を対象に2011年度予算に繰り込む方針を発表した。大阪府教育委員会によると、昨年度末で政令市を含む府内公立中学校全465校のうち、給食を実施しているのは57校で、大阪は全国平均実施率82%を大きく下回っているという。そこで、自ら大勢の子育て真最中の橋下知事は中学給食実施に向けて、「栄養管理を行った給食を提供する事で、生徒の体力や学力の向上にもつながる」と述べ、「子ども達を主眼においた中学給食の完全実施」として導入する姿勢を明確にしている。
具体的には、事業の実施主体である各市町村からは約50%の導入賛成の意向を確認し、来年度より5年間かけて総額246億円の助成を決めている。(大阪府教育委員会によると、中学校で調理室を設置する場合、1校当たり約1億5千万円かかり、府の補助額は150~200億円の規模を想定、実際の導入には早くとも1~2年はかかる見通しという)この橋下知事の発表を受けて、さっそく2月28日に池田市と高石市の市長が大阪府庁を訪れ、中学給食の完全実施を導入していく考えを伝えた。
また導入反対の自治体は運用コストのかかる給食導入より校舎の耐震工事を優先したいとの意見もあるようだが、池田市ではまず、校舎の耐震化を終えた2つの中学校で給食実施を目指す。「知事の強引さに負けて、大阪府下でいっせいに中学校給食になりますよ」と話す池田市倉田市長の表情は、高石市阪口市長や橋下知事らと共に子ども達の健全な育成を願って、明るい。
【大阪市の場合】
一方、大阪市の平松市長も2月21日に2013年から市立中学校全128校で給食を実施する方針を明らかにした。大阪市教育委員会によると、その実施方法として従来通り家からの弁当持参か、民間デリバリーの業者弁当かを生徒が選択し、献立は同委員会が作成、いずれも牛乳をつけるという。この方法の実施にあたっては、各校に配膳室整備のための初期費用約20億円にプラス業者委託費が年間十数億円見込まれている。
これまでに大阪市は2009年、全中学校で1食280円の「選択弁当」を始めたが、利用率は平均7%台に留まっており、1食分の保護者負担額は弁当の方が給食より高い。
さらに、給食なら低所得者世帯の生徒に就学援助費を支出できるが、「選択弁当」となると適用できないという。
しかし文部科学省の学校給食実施基準4項目の中に、①在校生全員を対象とすること②週5回実施することがあり、この実施基準からみると、特に大阪市の中学給食の実施方法は残念ながらこの基準を満たしていないことになる。
このように、両自治体の中学給食実施の内容を比べてみると、いろいろな点において基本的な違いのあることが分ります。
大阪府の実施方法も知事の理想とするかたちで行われていくかどうか、実際のところ難しいものがあると思いますが、少なくとも「子どもの健康に寄与するための学校給食としての完全給食導入」という趣旨は、文部科学省の「学校給食を生きた教材として活用されていること」というものに、合致しています。
再び文部科学省の「学校における食育の推進・学校給食の充実」という視点から、学校給食を考察すると、学校給食は単に学校の教室で児童・生徒が一緒に昼ごはんを食べたら、それが給食となるといったものではなく、その給食を通じて地域等を理解し、食文化の継承を図り、自然の恵みや勤労の大切さなどを理解することが重要であり、食育推進基本計画を基に、厳選された食材を使用した「学校における食育の生きた教材となる学校給食であること」が 「教育の一環としての授業」といえる条件ではないでしょうか。
2011年3月8日
