1. HOME
  2. 知る・学ぶ
  3. SN見聞録
  4. 「肥満大国」が悪化?「アメリカ全ての学校給食プログラム」の規制緩和

印刷する

「肥満大国」が悪化?「アメリカ全ての学校給食プログラム」の規制緩和

ミシェル・オバマ前大統領夫人は、2010年2月、オバマ政権下で“Let's move!(行動をはじめましょう!)”と、国民に呼び掛け、米国が直面する深刻な肥満の根源を断ち切ろうと、栄養摂取基準など食育活動に取り組んできました。

しかし、2017年1月トランプ大統領の就任後、それまでのオバマ政策を一掃することを進め、その一環として上記“Let's move!”が早くも姿を消しました。

“Let's move!”の制度の中には、健康的な給食を子ども達に提供できるよう、学校給食メニューのカロリー・糖分・塩分を減らし、全粉粒・フルーツ・野菜を増やすことを定めた「全米給食プログラム」も盛り込まれていた。(詳細は、4月21日付当見聞録をご参照下さい)

だが、2017年5月、バーデュー農務長官が就任直後、オバマ政権時代に導入した学校給食の栄養基準「全米給食プログラム」の規制緩和を宣言した。

農務省のウェブサイトでは「もう一度給食を偉大にする」という、バーデュー長官の発言を大きく紹介しているが、トランプ政権は、「全米給食プログラム」の規制緩和に加え、農務省の大幅予算削減方針も表明した。

しかし、ミシェル・オバマ前大統領夫人は、“Let's move!”を継承するため、PHA(Partnership for Healthier America)を設立し、自身が理事会長を務める。サミットを開催し、“Let's move!”と同様の活動を開始している。

現在のアメリカの栄養摂取状況をみると、先進国で構成する経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で肥満率は最も高く、米国社会が抱える大きな問題となっています。

“Let's move!”がお蔵入りとなり、米国の食生活改善は残念ながらブレーキがかかってしまいましたが、ミシェル・オバマ前大統領夫人の活動力は今も衰えておらず、今後も子供たちの健康な生活習慣を目指してしっかり継続されることを祈念しています。

※関連記事

・2011年4月21日付 SN見聞録
「肥満大国」から「健康大国」へ
~国家的な食育活動“Let's Move!”を開始した米国オバマ大統領夫人~
http://www.snfoods.co.jp/knowledge/column/detail/2434

・2011年5月11日付 SN見聞録
「続 米国食育活動“Let's Move!”・・・在米女性のレポートから】」
~ようやく肥満大国に改善の兆しー栄養バランスの取れたおいしい日本の学校給食を早くならってほしい~
http://www.snfoods.co.jp/knowledge/column/detail/2486

・2011年8月29日付 SN見聞録
「肥満大国」から「健康大国」へ
~アメリカの国家的な食育活動“Let's move!”に、動き出した民間企業~
http://www.snfoods.co.jp/knowledge/column/detail/1901