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健やかなこころも「食生活」から

昨年は天然の災害に加えて、特に子供をターゲットにした凶悪犯罪が頻発し、その背景をみても理解に苦しむ内容ばかりで、 現在の日本には得体の知れない深刻な病巣が蔓延してきたようです。明けて今年こそと思った矢先、耐震強度偽造事件につづき、ライブドア事件となりふり構わぬ拝金主義の暴走が世の中を騒がせています。特に前者の場合、人命にかかわる重大な責務を負っているという認識が皆無に等しく、何でもかんでも商品化していわゆるマネーゲームで収益を上げればまるで人生の勝利者になれるかのようなおそろしい勘違いを容認した社会にも責任があり、日本にはびこる病気はかなり重症です。

しかも上記のような子供をターゲットにした重大事件の再発防止対策として打ち出された内容は、いずれも通学の送迎や防犯カメラの設置等々、起きた事件の結果に対しての当面対応にしか過ぎません。耐震強度事件やライブドアに至っては、海外からも評価されている日本流ビジネスの長所を無視して某大国の亜流で暴走した結果といえるでしょう。

このように考察してくれば、今求められているのは、人間としてバランスのとれた社会生活を営むための「生きる力」とこれを育むための温かい思いのこもった教育ではないでしょうか。そしてこれらの「生きる力」や基本的な情操教育の源泉は正しい「食生活」や「食環境」に負うところがたいへん大きいのですが、残念ながら一般社会にはあまり認知されていません。「食」が人間の「脳」や「こころと身体の健康」に及ぼす影響度はわれわれの想像をはるかに超えるほど重いということは次の具体例をみるとよく分ります。

  1. 朝食を食べた場合と食べない場合では、テストの正解率が前者の方が高く、12時間近くエネルギーが補給されない状態が続くため、頭がボーッとしてすぐカッとしたり、身体がだるいなどの症状になり易い。
    近頃、教室でじっと座ることができず、走り回ったり騒いだりするこどもが増えて いますが、根気よく正しい食事を摂らせれば改善は不可能ではありません。例えば朝食を食べるためには早寝早起き、そしてこれを励行するためにはその他の生活のリズムも変えて行く等々、生活全般の大きな改善にも繋がってきます。
  2. 栄養素ミネラルの代表格カルシウム(緑黄色野菜・海草・魚介類・牛乳・乳製品に多く含まれる)が不足するとキレやす くなることはよく知られているが、近年小学校高学年からダイエットを始める子供が多く、女性のカルシウム充足率をみると、10代後半で73%、20代で80%、30代で79%と、10代後半が最も深刻なカルシウム不足に陥っている。一方ではこのほど食品安全委員会の専門調査会は「カルシウムを多く含む大豆イソフラボンを通常の食生活に加え追加的に摂る安全な上限量を30ミリグラムとし、妊婦や乳幼児に対しては追加摂取は推奨できない」としており、身体にいいとされるものでもやはり過不足なく正しく摂取されないと、弊害になる。
    カルシウムが極端に不足した例として、少し前の事になりますが昭和47年の厳冬に起きた「連合赤軍による浅間山荘事件」の当時の状況が川島四郎博士によって記述されたものがあり、「当時凄惨なリンチ殺人事件を犯した犯人達は3ヶ月以上の逃亡生活の間ほとんど生鮮品を食べず、特に緑黄色野菜は全く摂らず、著しいカルシウム不足になっていた筈」という報告には生々しいものがあります。
  3. ビタミン等の微量栄養素もそれ自体カロリーにはならないが、不足すると免疫力が落ちたり生活習慣病・ガンの原因になり易く、身体の調子を整えるのにたいへん重要な役割があり、同じく食物繊維も便秘・高血圧・糖尿病等を防ぐ大切な栄養素である。
    例えばビタミンB1等は「精神ビタミン」ともいわれて、こころの健康に深い関係があります。不足した時の症状では、先ず憂うつ状態やイライラして情緒が不安定になり、次には息がし難くなったり、不眠、便秘、食欲不振、脚気症状を呈するようになります。
  4. 食品の種類をたくさん食べている児童は少ない児童より学力テスト数値・偏差値が高いというデータや、子どもの時に孤食体験のある場合、性的な乱れに陥りやすいなどの報告もされている。
    たくさんの食品数を子どもが食べるということは、家庭やこれを提供する環境がなければ実現は難しく、食事を独りで食べるケースも同じように「食育」に生活全体の多面的な対応が望まれることがよく分ります。

上記のような例からも、「食生活」や「食環境」は、家庭・学校・地域社会全体にいたるまでの総合的な取り組みがないと改善されないという事がはっきりとみえてきます。しかし残念ながら今の若い親たちにあらためて、このような「食育」を教えることは現実には不可能ですから、学校で子どもの中にしっかり教え込んでいくしかありません。

すなわち小学校・中学校時代に「学校給食」を通じて、正しい「食生活」と 「食文化」を徹底して教え込めば、その子どもたち自身が成長して将来自分達の子どもに正しい「食習慣」を伝授し、また同じようにその子どもたちが親になって自分の子どもたちにバランスのとれた「食生活」を毎日無理なく伝えていきます。この伝承が2世代以上続けば、日本国民は確実に今よりはるかに心身とも健 康になり、医療費も大幅に削減され、生理的に理解できないような犯罪も減少するはずです。

「食育」は上記のように、毎日根気良く、そして深く、実直に取り組まれるべきものであって、決して大騒ぎではやし立てて、一過性に終わらせるものではありせん。このことを特に関係する人々はしっかり踏まえなければならず、自身の「食生活」は乱れるにまかせているようなものが、間違っても自己の利得のために「食育」を利用するなどは論外であります。