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新型コロナウイルス 学校休業により「子どもの栄養格差」広がる

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、全国の小中高校では、3月2日から臨時休業が始まり、4月一部の学校が再開しましたが、4月16日に全都道府県が緊急事態措置の対象となり、3月から5月のおよそ3カ月間、多くの子ども達が学校給食を食べられない状況が続きました。

成長期の子ども達の栄養面において、学校給食の果たす役割はとても大きく、長期の休業により、「子どもの栄養格差」が拡大した可能性があります。

学校給食の提供がなかった期間、自宅できちんとした食事を食べていれば問題がないが、貧困家庭や親が働きに出ているため、昼食を即席麺やお菓子などで簡単に済ませてしまうなど、各家庭により子どもの栄養摂取には、ばらつきがある。

2011年1~2月、全国10市の児童生徒 計4662人(有効回答数)を対象に、独立行政法人 日本スポーツ振興センターが実施した「平成22年度 児童生徒の食事状況等調査報告書」(※1)によると、学校給食のない日の昼食は、給食のある日に比べ、カルシウム、鉄、ビタミンB1・B2・C、食物繊維の摂取量が不足し、食品群で見ると、学校給食のない日は、牛乳、豆類、野菜・果物類が明らかに減少することが分かった。

東邦大学医学部 准教授 朝倉敬子先生らが2014年11~12月に全国の小中学校の児童生徒910人を対象に行った「日本の小中学生の食事状況調査」でも、学校給食のない日はカルシウムや鉄、カリウム、ビタミンC、食物繊維が不足していることが明らかになっている。(詳細は、2018年12月27日付当見聞録をご参照下さい)

また、日本老年学的評価研究(JAGES)が2010年、65歳以上の19,920人を対象に行ったアンケート調査から、子どもの頃の社会経済的状況と高齢期の野菜・果物摂取頻度の関連を分析した結果(※2)によると、子どもの頃に学校給食を経験していない年代では、高齢期になって野菜・果物の摂取不足になるリスクが高いことがわかった。

これらの調査結果から、学校給食が果たす役割はたいへん大きいと言えます。そして、学校給食では、栄養バランスの取れた食事の提供だけではなく、栄養の知識や望ましい食習慣・明るい社交性及び協同の精神を養うことなどを学びます。

新型コロナウイルスの感染拡大の第2波で、学校給食の提供が困難になった場合でも、色々な工夫が施され、子ども達のための学校給食が提供されることを願います。

※1: 独立行政法人 日本スポーツ振興センター
「平成22年度 児童生徒の食事状況等調査報告書」

※2: 日本老年学的評価研究(JAGES)
「子ども時代の貧困で高齢期の野菜不足リスク1.4倍に~給食で格差緩和か?~」