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「米国ワシントンポスト紙に日本の学校給食が詳しく掲載されました!」~世界各国からもわが国の学校給食に高い評価が寄せられています~

新年から安倍新体制による大胆な金融緩和政策など、いわゆる一連のアベノミクスに対して市場が大きく反応しています。今後期待通りの成果が得られるかどうかはともかくとして、かつて体調不良で辞任された安倍総理大臣の精力的な行動をテレビ画面で観ながら、改めて心身の健康がいかに大切であるかを痛感させられます。

さて、心身の健康といえばその源泉ともいえる日本の学校給食について最近海外メディアから賞賛の論評が数多く寄せられています。

【2013年1月27日ワシントンポスト紙掲載】

直近のアメリカ1月27日付「ワシントンポスト紙」をはじめとして、ドイツについては10月8日付産経新聞が「フォルカー・パイネルト氏の報告書」や「フランフルター・ルントシャウ紙」の記事を紹介、また中国の昨年7月21日付「成都商報紙」、同じく12月1日付「人民網紙」などが次々と日本の学校給食について論評を掲載しています。

では簡単にそれら内容の一部をご紹介します。

米国 ワシントンポスト紙(2013.1.27)
「日本の学童は学校給食からたくさんのことを学んでいる!」

  1. 日本の学校給食は国が設置した学校給食制度により、安価でヘルシー・美味しくバランスの取れた食事内容を実現することができている。
  2. 学校に配置された栄養士が献立を作成し、人件費は各自治体負担、3ドルの材料費を保護者が負担している。
  3. 給食の時間は白衣と帽子を着た児童生徒が自分たちで配膳し、用意が整って全員揃ったところで、この日の献立について栄養士が食事の前に講義する。
  4. このような取組のお陰で、日本の子どもの肥満率は常に世界最低レベルで、6年間減少し続けている。
    日本の学校給食は学校教育の一環として実施されている。
  5. 日本政府として、文科省スポーツ・青少年局大路正浩学校健康教育課長の話
    「このような取組がなぜ他国でできないのか、説明は難しいが、昨年モスクワで開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)の学校給食ワークショップに、日本は文部科学省の職員を派遣したが、殆どの国は農産業関連省から派遣されていた。つまり、日本の学校給食は単なる昼休みの食事として位置づけられてはおらず、教育・授業の一環として取組まれているから、他国の現行制度では難しいといえる。」

【第15回 国際栄養士会議 シンポジウム発表 前文部科学省 学校給食調査官 田中延子先生資料より】

ドイツ 産経新聞(2012.10.8)-書物「独は日本の学校給食から学べるか」、フランクフルター・ルントシャウ紙、シュピーゲル誌他

  1. 日本の学校給食は国と自治体が補助し、「教育の一環」として義務化されており(実際はまだ義務化されていない)、保護者負担は食材費のみ、専門知識のある職員の従事が求められている。
  2. 給食の時間に児童生徒は配膳や片付けをする。
  3. 献立は栄養バランスに配慮されたもので、家庭で不足した栄養を補足する役割も果たし、地産地消で児童生徒は自身の住む地域について「目と耳」で学習できる。
    (以上「ドイツは日本の学校給食から学べるか」の著者フォルカー・パイネルト氏)
  4. 日本の学校給食は「楽しい、毎日新鮮な食材が調理されている」といった内容で充実している。 (フランクフルター・ルントシャウ紙、シュピーゲル誌)
  5. ドイツの学校給食事情
    ・独東部にある学校・幼稚園の児童園児数千人が給食が原因とみられる集団食中毒の症状を呈し、ドイツの学校給食の課題が指摘されている。
    ・学校給食職員の資格・衛生管理基準および献立内容をみると90%が適切な基準を満たしていない。
    ・長時間保温で栄養価は低下し、美味しくないためにファーストフードなど別に食事を済ませる児童生徒も少なくない。
    ・連邦制度のドイツでは教育は州の管轄となり、給食に関する規定・職員資格の統一基準がない。自治体の財政不足、保護者の理解不十分が原因で、適切な設備や職員の確保が難しい。
 

中国 Record China紙(2012.12.1)、成都商報紙(2011.7)

  1. 日本は1954年「学校給食法」を制定し、学校給食を通じて「小・中学生の心身の健全な発達と促進」「国と地方公共団体は学校給食の普及と健全な発達を図る」ことを要求している。
  2. さらに、2009年「日常生活における食事に正しい理解を深め、健全な食生活を営む判断力、望ましい食習慣を養う」などの項目が追加されている。
  3. 「食を通じて食に関する教育としての食育」の視点で日本の学校給食は推進されており、明確な法律に基いて学校給食は教育活動の一部として各教育部門や学校から重視されるようになった。
  4. 国・自治体が人件費・輸送費を負担し、保護者の負担は食材費のみ(約250~300円)、これも支払うことが難しい児童生徒には免除されている。
    (以上 Record China紙)
  5. W杯優勝のなでしこJAPANの快挙は学校給食の影響が大きい!
    ・日本サッカーが男女共に強くなったのは戦後、国を挙げ学校教育として国民の体位向上に努めた成果である。
    ・昭和15年の「学校給食奨励規定」(?)で十分な栄養摂取を目的とした学校給食を実施した。
    ・東京オリンピックの前後に「スポーツ振興法」制定や「国民の健康体力増強対策」を閣議決定した。
    ・小・中学校で牛乳を飲む習慣をつけさせて、体位の向上に貢献した
    (以上 成都商報紙)

このように、改めて各国メディアによる記事の内容をみると、日本の学校給食の実態について、実に詳しく正確な情報をキャッチした上で掲載されていることが分ります。

では、このように世界一といわれる日本の学校給食制度について、果たして日本国内ではどの程度認知され、理解されているのでしょうか。

中学給食実施率が全国で最も低い大阪府(17.8%)を例に挙げてみてみましょう。

以前、当見聞録(2011.3.8.付)で大阪府の橋下知事(当時)が「子ども達を主眼においた中学給食の完全実施」を目指す取組を掲載しましたが、残念ながらその後大阪市長に就任された橋下氏が実施したのは、知事時代に提唱していた「子どもを主眼においた中学校完全給食」ではなく、もちろん世界が評価している日本の学校給食でもなく、民間業者が弁当箱に詰めて学校に配る弁当か家庭から持参する弁当かを選択するという制度でした。

すなわち大阪市で開始された中学校給食制度は「教育授業として位置づけられた完全給食」ではなかったのです。

 

【Sources : USDA Food and Nutrition Service ; Umejima Elementary School, Tokyo THE WASHINGTON POST】

世界が絶賛する日本の学校給食は、単に教室で児童生徒が一緒に昼ごはんを食べることではなく、その給食を通じて地域を理解し、食文化の継承を図り、自然の恵みや勤労の大切さなどを理解することが重要なポイントであり、食育推進基本計画を基に、厳選された食材を使用した「学校における食育の生きた教材となる学校給食」であります。

大切なポイントは、世界各国は日本の学校給食が「教育の一環としての授業」であることに高い評価を寄せているということです。