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長野県小諸市の学校給食 地域全体で取り組む食育をご紹介します!

長野県小諸市(こもろし)は1953年(昭和28年)から、学校ごとの単独所給食調理室にこだわり、各学校で調理する直営の自校給食をすべての小中学校で行っています。

また、少しでも農薬を減らした地元の安全でおいしい農産物を使い、各校に配置された栄養教諭が、地元食材を多く取り入れた献立を考え、調理員の手際よい調理により「温かいもの」「冷たいもの」が適温の学校給食が、子ども達に提供されています。

1. 小諸市独自の供給体制による「地産地消」の学校給食

小諸市では、1988年(昭和63年)から、市内の生産者に学校給食に食材納入する取組への参加を募り、現在では50品目以上の農産物を給食食材として使用できる供給体制が整っている。また同年5月より、すべての小中学校で一斉に、無・低減農薬野菜の導入を開始した。

食材の発注は、各学校の栄養教諭から直接、登録農家へ連絡し、食材が足りない場合は、小諸市内各所にある農産物直売所から提供する体制となっている。

このように、地元生産者と協力して地産地消の給食を推進することが、農業生産の向上(耕作放棄地対策)や物流システムの整備(直売所の活性)につながっている。

2.各学校の栄養教諭・調理員の取組

小諸市内8校の小中学校には、すべてに「給食室」があり、栄養教諭が配置されている。4名は長野県が採用し、残りの4名は小諸市が採用している。

栄養教諭は、主に給食の献立を作成し、地元の食材を使用した地産地消の給食を提供できるように、地元生産者(農家・直売所)と連携し、旬の農産物の収穫状況について情報交換を行っている。実際、農産物の納品段階となった時に天候の影響等で収穫が遅れてしまい、給食献立の変更が必要な場合でも、経験を生かし各学校の栄養教諭が情報を取り合って、スムーズに対応している。地元食材を使用した地産地消給食には、栄養教諭を配置することが重要な意味があることから、2009年(平成21年)より、各校1名、合計8名の栄養教諭配置の体制が取られている。

調理員は、安全な給食を提供するため、調理作業の手順・時間・作業担当者を示した「作業行程表」と、食品の調理動向を示す「作業動線図」を作成し、1日の動きを全員で把握している。食材の色や食感を考え、日々時間とたたかいながら、調理している。

3.食育・食農教育を通し、子ども達の食への関心が高まる

給食に農産物を提供してくれる地元生産者の畑で、子ども達が収穫などの農業体験を行い、自分達が収穫した農産物が翌日の給食に利用されることで、給食で提供される食べ物がどのような行程で作られているかを学んでいる。その結果として、その日の残食がゼロになるなど、子ども達の食べ物への関心が高まっている。

実際、2012年(平成24年)に一人当たり2.14kgあった給食の食べ残しが2016年(平成28年)には0.8kgと、全国平均の7.1kg(※)と比較しても大幅に少なくなっている。

環境省 平成27年4月28日「学校給食から発生する食品ロス等の状況に関する調査結果」より
http://www.env.go.jp/press/100941-print.html

小諸市の学校給食は、「子ども達に健康でいきいきと育ってほしい」、「食文化に興味を持ち、大切にしようとする心を持ってほしい」そんな地域全体の想いが込められています。

子ども達は、毎日の給食を通して「作り手への感謝の気持ち」「調理に込められた想い」など感じながら、「バランスの取れた食事の大切さ」「食文化への理解」などたくさんのことを学んでいます。

地元食材を使った小諸市の学校給食は、地元食材のおいしさが子ども達から家庭にも伝わり、単に地産地消の数値目標ではなく、給食を通じてそれを支える農家・地域・子どもそして、親や大人達の食への関心を高め、「食育」が地域全体の皆の手で推進されています。

学校給食を通した食育の成果を実感するすばらしい実例として、ご紹介しました。