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「第73回全国学校給食研究協議大会」東京都 オンラインで開催!

2022年10月13日、14日の両日「第73回全国学校給食研究協議大会」が東京都渋谷区で開催されました。

栄養教諭・学校栄養職員を中心に、全国から学校給食関係者がオンラインで参加し、2日間にわたり全体会・分科会が以下の内容で行われました。

1.大会概要

1)主題
次代を担う子どもたちの心身の健康を育むために
~ 子どもの具える可能性を高める学校給食の役割 ~
2)趣旨
学校における食育を推進する上で重要な役割を担う学校給食の在り方について研究協議を行い、併せて学校給食関係者の資質の向上を図る。
3)開催日
2022年10月13日(木)・14日(金)
4)開催地
東京都渋谷区
5)主催
文部科学省、一般社団法人全国学校給食推進連合会、公益社団法人全国学校栄養士協議会

2.全体会概要

1)開会式
2)「文部科学大臣表彰」表彰式・受賞者記念撮影
3)文部科学省説明
4)  シンポジウム
・テーマ:学校における食育推進のための学校給食の役割 
~ 学校給食の時間における指導の在り方 ~
・コーディネーター
兵庫県たつの市教育委員会 教育管理部参事(兼)小中一貫教育推進課長/清久利和
(前 文部科学省初等中等教育局 健康教育・食育課食育調査官)
・シンポジスト
宇都宮市立上河内東小学校 副校長/岸敦子
品川区立八塩学園 教諭/加藤健太
大分県中津市立東中津中学校 栄養教諭/阿部睦未
さいたま市立栄和小学校 栄養教諭/東田雅美
文部科学省初等中等教育局 健康教育・食育課学校給食調査官/齊藤るみ

3.分科会

1)開催日
2022年10月14日(金)
2)各分科会と研究主題
(1)第1分科会 研究主題
学校給食を活用し教職員が連携した小学校における食育
(2)第2分科会 研究主題
学校給食を活用し教職員が連携した中学校にける食育
(3)第3分科会 研究主題
特別支援学校における教職員が連携した学校給食の提供及び食に関する指導
(4)第4分科会 研究主題
学校経営に食育を位置付け栄養教諭を中心として推進するための方策
(5)第5分科会 研究主題
社会的課題に対応した学校給食の充実
(6)第6分科会 研究主題
組織的に食物アレルギーに対応した学校給食の提供及び個別的な相談指導の在り方
(7)第7分科会 研究主題
学校給食の調理の工夫及び栄養管理の在り方
(8)第8分科会 研究主題
安全・安心な食品選定及び衛生管理や緊急時対応の在り方

4.大会参加者のまとめ

全体会・分科会をオンラインで聴講しました。2日間にわたり活発な討議が行われました。その内容を以下の通りご報告いたします。

【全体会】

シンポジウム「学校における食育推進のための学校給食の役割~学校給食の時間における指導の在り方~」での様々な議題から一つご紹介します。

さいたま市立栄和小学校 東田雅美栄養教諭よりシンポジストへ「授業内容と連携した献立を給食に取り入れたいが、教職員からリクエストをもらうには、どのようにすれば良いか。」との投げかけがあり議論が行われました。

品川区立八塩学園 加藤健太教諭からの「教職員はどのようにリクエストすれば良いかが分らないのではないか。」に対して、前食育調査官清久利和様(現 兵庫県たつの市教育委員会教育管理部参事兼小中一貫教育推進課長)より、「栄養教諭自身が、食に関する授業の行われる時期を担任や教職員へ、直接確認し、各学校の年間指導計画を基に、連携した献立を取り入れるといったことを心がけて実施すれば、教職員との距離も近くなり理解につながるのではないか」とご提案がありました。

そして最後に、「栄養教諭が中核となり、積極的に情報交換することで、全教職員の食育推進体制への認識が深まり、食に関する指導は充実するはずです。」と締めくくられました。

【第7分科会 学校給食の調理の工夫及び栄養管理の在り方】

大量調理に対応した調理の工夫の在り方
学校給食摂取基準や児童生徒の実態を踏まえ教職員が連携した栄養管理の在り方
学校給食をモデルとした家庭や地域との連携による食に関する自己管理能力の育成の在り方

上記①~③の研究協議事項について、学校全体で取り組まれた素晴らしい研究発表がありました。

1)新潟県新発田市立東小学校 栄養教諭/永倉弘子
主題:地域への愛着と誇りを育む魅力ある学校給食の提供
~「食とみどりの新発田っ子プラン」の推進から~
2)富山県氷見市立湖南小学校 栄養教諭/小間陽子
主題:実態に基づいた栄養管理と地場産物の活用
~地域を愛し、健やかに育つ児童の育成を目指して~
3)兵庫県宝塚市立宝塚小学校 栄養教諭/角谷千尋
主題:生きた教材としての学校給食の改善と食に関する指導の取組
~様々な食品をバランスよく食べる子どもの育成~

3件の研究発表を通して、視聴側から寄せられたチャットとともに活発な意見交換がなされました。中でも2)の研究発表でEER(推定エネルギー必要量)を活用した事例について興味深い内容でしたのでご紹介いたします。

【現状】
学校給食実施基準値を基に給食を提供しているが、学年によって残食量にむらがあり、学年間の体格に違いがみられた。
【取組】
栄養教諭・学級担任・養護教諭が連携して、各学年単位でEER(推定エネルギー必要量)を算出し、その値に基づき、学校給食の主食やおかずの量を考慮して提供した。
【結果】
クラス全体の残食量が減少するという効果がみられた。また、児童は完食することで達成感を味わうことができた。
【課題】
児童が自らの実態に適した量を選択することができるように、個別指導を行うことが必要。

最後に公益社団法人全国学校栄養士協議会 長島美保子会長より、「栄養教諭は学校給食の献立を教材づくりの一環とし、さらには個別指導にまで高めていくべきである」、「データや科学的根拠に基づいて、給食の効率化をはかることが大切」とのご指導がありました。

栄養教諭・学級担任・養護教諭が連携して児童の身体計測等の情報を収集し、常にEER(推定エネルギー必要量)を見直すことで、児童の正確な実態を把握でき、さらに個に応じた適正な配食という個別指導へもつながるという取組の発表に感動し、多くのことを学ぶ機会となりました。また栄養教諭と教職員が連携し、食に関する授業内容を踏まえて学校給食の献立を提供することで、子ども達の食に関する興味関心を高めることができると再認識いたしました。

小原扶美子・上田知佳 記