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「第2回全国学校給食・栄養教諭等研究協議大会」茨城県で開催!

「第2回全国学校給食・栄養教諭等研究協議大会」が茨木県水戸市で開催され、全国から学校給食関係者約1,200名が参加し、令和7年8月5日(火)、8月6日(水)の2日間にわたって、実施されました。

大会開催要項

1. 趣旨

学校における食育を推進する上で重要な役割を担う学校給食の在り方について研究協議を行い、学校給食関係者の資質の向上を図る。併せて、学校における食育の推進に向けて、児童生徒に対する食に関する指導のあり方や学校給食の充実方策について研究協議し、栄養教諭・学校栄養職員の資質の向上を図る。

2.主題

より一層の学校給食の充実と栄養教諭を中核とした学校における食育の推進
~食の王国いばらきから広げる食育の環 ねばーり強くすすめよう!~

3.主催

文部科学省、茨城県教育委員会、水戸市教育委員会、公益社団法人全国学校栄養士協議会、一般社団法人全国学校給食推進連合会、公益財団法人茨城県学校給食会

4.協賛

茨城県学校栄養士協議会

5.期日

令和7年(2025年)8月5日(火)・6日(水)

6.開催地

茨城県水戸市

 

【第1日目 8月5日(火)】

全体会

1. 開会式

2.「文部科学大臣表彰」表彰式

3.文部科学省・文化庁説明

文部科学省説明「栄養教諭を中核とした食育の推進と学校給食の改善・充実」
文部科学省初等中等教育局 健康教育・食育課 教育改革調整官 伊藤賢氏
文化庁説明「食文化継承に向けた取組」
文化庁参事官(生活文化連携担当)付 参事官補佐 佐藤裕隆氏

4.講演・シンポジウム

(講演)
演題 「栄養教諭に期待される職務と役割」
講師 文部科学省初等中等教育局 健康教育・食育課 学校給食調査官 齊藤るみ氏

(シンポジウム)
主題 「学校全体で食育を推進するために求められる栄養教諭本来の職務 ~全教職員が共通認識のもと、栄養教諭を中心とした職に関する指導を行うために~」

(コーディネーター及びシンポジスト)
文部科学省 初等中等教育局健康教育・食育課 食育調査官 山上 望  氏
文部科学省 初等中等教育局健康教育・食育課 学校給食調査官 齊藤 るみ氏
袋井市総合健康センター 健康未来課健康企画室 室長 石塚 浩司氏
たつの市立小宅小学校 校長   清久 利和氏
足立市立第二中学校 栄養教諭  大畠 昌枝氏
新潟市立桃山小学校 栄養教諭  齊藤 公二氏

【第2日目 8月6日(水)】

分科会

 

大会に参加して

食の王国 茨城県で2日間に亘り開催された本研究協議大会に参加し、全体会・分科会を聴講いたしました。以下の通りご報告いたします。

 

【文部科学省説明】

令和7年4月30日付 文部科学省「栄養教諭等による食に関する指導等の充実について(通知)」※1の中の改正部分について、説明がありました。その中で、令和5年7月5日付「養護教諭及び栄養教諭の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則の参考例等の送付について(通知)」※2の中で示された別表「栄養教諭の標準的な職務の内容及びその例」については、新たに追加された番号3の「主として学校の管理運営に関すること」として、「栄養教諭が児童生徒の教育活動や学校運営に、より一層積極的に貢献することと併せ、周囲から教師としての役割が期待されている」という内容でした。

また、「学校給食の安定的な運営に向けて」の説明の中で、物価高騰や安定的な食材の調達・物流問題にも触れられており、昨今の食を取り巻く情勢への対応にこれまで以上に注力しているという報告もありました。

※1:文部科学省 令和7年4月30日付け文部科学省「栄養教諭等による食に関する指導等の充実について(通知)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/eiyou/mext_03278.html

※2:文部科学省 令和5年7月5日付「養護教諭及び栄養教諭の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則の参考例等の送付について(通知)」
https://www.mext.go.jp/content/20230704-mxt_kenshoku-100000619_1.pdf

【講演】

「栄養教諭に期待される職務と役割」として、主に「栄養教諭が校務分掌を担う背景」についての説明がありました。すべての栄養教諭が ①「教師」として、子ども達へ「食に関する指導」を実施することと、栄養教諭が ②他の教師と同様に「校務分掌」を担うことにより、③栄養教諭の必要性に対する多くの理解が得られ、更に栄養教諭が教師として活躍し、評価されることによって、栄養教諭の配置拡大につながるので、①②③は重要である、と講演されました。

「栄養教諭が本来の職務と役割をしっかり果たすことによって、評価(活躍の場や配置の拡大)につなげることができる」と、理解しました。

【シンポジウム】

3つのテーマを討議の柱として、行政・校長・栄養教諭のお立場からの熱い討議が行われました。テーマのひとつである「栄養教諭を中核とした食に関する指導の在り方とそれを実現するための具体的方策」の討議では、食に関する指導は、児童生徒の実態から学校の課題を整理し、子どもにどうなってほしいか、どのようなことを身につけてほしいかを基に、必要な指導を計画し実施することが重要であるとのお話がありました。

栄養教諭の必要性は、他の教諭では教えることのできない栄養教諭の専門性であり、この専門性についての理解を周囲に深めてもらうためには、栄養教諭から具体的にどのようにアプローチをすればよいか、シンポジストの方々から経験に基づいた助言があり、栄養教諭が今後目指す姿に向けて、スモールステップから能動的に行動しなければならない、と熱心に討議されていたことが強く印象に残っています。

【第7分科会 学校給食の栄養管理と生きた教材となる献立作成の在り方】

(1)岩手県久慈市立長内中学校 研究発表 栄養教諭 大石 祥子氏
主題: 食べる力を育み、未来につなぐ食品ロス削減
~残食を減らすための共同調理場と学校の連携による意識改革~

(2)茨城県日立市立松風中学校 研究発表 栄養教諭 下山田 麻衣氏
主題: 地域の健康課題改善に繋げる栄養管理の在り方
~美味(おい)しお給食を通した生き教材となる献立作成~

(3)和歌山県紀美野町立下神野小学校 研究発表 栄養教諭 岡 明子氏
主題: 学校給食を「生きた教材」として活用するために
~「深めよう きみの食」豊かな心と体の育成を目指して~

学校や地域の課題解決に向けて、まず、栄養教諭が児童生徒の実態調査結果を分析し、給食の適正量を割り出して、調理時の工夫や食の指導を行った結果、①適正量のごはんの摂取 ②減塩 ③残食の減少などが数値として創出され、食の指導による効果の結果に結びついていることが立証されました。更に、児童生徒の主体的な意識や行動改革にも繋がったとする本発表は、数値分析に基づく非常にレベルの高い内容でした。

このような栄養教諭を中心とした専門性の高い日々の取組が、児童生徒の現在の課題改善とともに、将来に向けて食生活を自己管理できる心身ともに健康な成人の育成に繋がっていくことを実感し、分科会研究協議においても、意義深い多くのことを学習させていただきました。

岩倉 綾子 記